ビューエルの修理やカスタムをあれこれ検証・考察している、名古屋の「HOT WIRED」から、BUELLのメンテナンスの定番、TPSリセットと、エンジン不調、アイドリング不調、ハンチング、バックファイヤ、ミスファイアの原因についての情報をご紹介したいと思います。
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BUELL乗りの定番メンテナンスとして、「TPSリセット」があります。
「何か不調を感じたらまずはTPSリセット」
というくらい一番はじめの手順ですし、定期的にリセットしないと、ずれていって調子悪くなるわけですが、
なぜか最近、TPSリセットをしたことで、不具合が発生するケースが頻発していますので、全国の迷えるビューエル乗りのために情報共有したいと思います。
そもそもTPSリセットが正しくできていなくて、逆に調子が悪くなるケースと、
TPSリセットが悪いのではなく、すでに潜在していた不良が、TPSリセットをした時に表面化する、というケース。
TPSリセット後に発生する、代表的なビューエルの不具合の症状は:
アイドリング不安定。 ハンチング・エアクリーナー内でミスファイヤ アクセルのツキが悪い。(ガボッと、ワンテンポ遅れて吹け上がる) 回転数が落ちてくるのが不自然に遅い。 走行中にカリカリとノッキング。 ちょっとアイドリングでエキパイが真っ赤になる。
以下は、私のビューエルで実際の起こった不具合の記録です:
エンジン不調の兆しは5 年ほど前に遡る。 だんだんと、アクセルの付きが悪くなってきた。 大きく開けた瞬間に、がぼっとなる。エンストするときさえあるようになってきた。
アイドリングが不安定、エアクリーナー内でボコッとミスファイアする、そのまま止まるときもある。 アイドリングをあげても、解決しない。 空吹かしでアクセルのツキが悪い、最初にガヴォとなってから吹け上がっていく。 そして、回転数がスムーズに降りてこない。 エアクリ内でミスファイア、ハンチングする。 走行中に、カリカリとノッキングの音に気づくようになった。 冬だとアイドリングだけでエキパイが真っ赤になる。 エンジンは一発始動で、乗れないことはないが、気持ちよくない。
上記の症状から、燃料が薄くて排気温度が上がり過ぎているのでは?と疑った。 インテークシールのリークも疑った。 プラグ交換、インテークシールを新品にして、インジェクター洗浄、燃料ポンプの燃圧正常、アクセルワイヤー交換、燃料ホースに断熱処理、燃調マップをいじって燃料を少し濃くする、など、
症状改善せず。
I own it since new so I know how it supposed to feel like. Bike is all stock.The problem started gradually about 5 years ago. Unstable idle. Hiccups, even dies on idle sometimes. I noticed bad response with opening gas rather quickly. It gaps/hiccups at beginning from the idle rpm then revs up, revs up fine but rev comes down too slowly. Rpm doesnt come right back down to idle. Comes down to awkwardly slowly.
I could hear knocking sound while riding. The symptoms gets worse and worse as years go by. In winter, both exhaust headers gets red hot just by sitting on idle for 5min. It starts right up and I can still ride it but it just dont feel right.
I can feel theres something wrong. I know how it feels like as I own it since new.
It definitely feels/runs like the fuel been too lean.
I replaced spark plugs,intake seals, spark plugs, accele wire, had my shop cleaned injectors and check the fuel pump was ok, heat shield fuel hose, even mod fuel map to add lil more fuel.
nothing fixed the problem.
不調の状態を動画でアップしましたので、見てみてください。
BUELLアイドリング不調の動画:HOT WIRED CHANNEL https://youtube.com/shorts/byGR71NmssE?si=p2HwPBtJVn1lqdtf https://youtube.com/shorts/JrYWEObntrc?si=NZFwy_yjXNKyqa-D
このような不調な状態でも、エンジンは1発始動だし、乗れないことはない。 でも気持ち悪くて、乗っていて楽しくない。
詳しいビューエル仲間に診てもらっても、名だたる有名ショップに修理に出しても全く改善しない・・・。
海外のBUELLフォーラムに不調の動画をアップして相談したり、アメリカのビューエルチューナーにコンタクトを取って相談したり・・・。
日本各地の有名ショップさんに運んで修理を依頼して、いろいろな部品を交換したりしましたが、全く改善されませんでした。
もう心が折れそうになっていたところへ、5年間音信不通だった、愛知が誇る、世界的に有名なビューエル博士のG先輩から着信が!!!
「たまたま最近全く同じ症状の個体を3台も直したんだよ。」
「最初は原因不明ですごく苦労して見つけたんだけど、原因は多分あれだよ。」
すぐにトランポに積んで、お土産持って、秘密基地へGO!
でね、よくよく思い出してみると、6年くらい前に、調子悪くないのに、なんかのついででTPSリセットをしてもらった直後からアイドリングがおかしくなって、まさかTPSリセットが悪いとは思っていないので、インテークシールのリークかなーとか、なっていったわけですが、
原因は全く予想外のところにありました。
話が逸れますが、ついでにちょっと・・・
今回のトラブル解決の道のりの中で、いろいろなショップや友人に助けられました。 SNSで海外のビューエル乗りからもいろいろな意見をいただきました。
その中で、いろいろ間違った情報や勘違いしている人もたくさんいました。
①ハーレーの空冷エンジンはアイドリングで放置してはいけない? 空冷だからアイドリングで放置していれば、エキパイ真っ赤になるのが当たり前?
新車はそんなことはありませんよ。 正常な個体はアイドリングで放置しても、真夏に渋滞にハマっても、問題ないように作られています。
②燃料薄いんだったら、マップをいじって濃くすればいいじゃね?
そのようなアプローチは根本的な問題解決にはならず、他のトラブルの原因を作るだけです。燃料マップを弄って誤魔化すのは大間違いです。
③中古で買って、新車の状態を知らないオーナーが多く、こんなもんかな?と気づかないまま乗っている。
そんなもんじゃないんです。 今となっては、新車からビューエルに乗っていて、新車の状態を知っているオーナーは少数派です。 バイク屋さんだって、そもそもビューエルの新車がどんな感じなのかを知らないんですよね。 だから、そもそもどのような状態が正常なのかを知らないので、判断できないんですね。
約6年にも渡る長〜い苦難の道のりはすっ飛ばして、どうやって直したかの結論。
この部品を新品を交換しました。
まず、スパークプラグ
どうやら前回ハーレーディーラーで購入したスパークプラグは間違っていたようです。
BUELL用のスパークプラグには2種類あります。 最後のアルファベットがAのものとXのものです。 2007年式は、Aを使用する必要がありますが、前回購入したハーレーディーラーでは、なぜかXを渡されて、そのままつけていました。泣
先日お客様のオーディオカスタムの件でお邪魔した、ハーレーメガ東海さんでスパークプラグを購入した際に、サービスマニュアルで調べていただき、間違えに気付きました。(流石のメガ東海さんはまだ各年式サービスマニュアル揃ってました!)
調子の良いビューエルのスパークプラグは、大丈夫か?って思うくらい真っ白に焼けているのが正常です。
次に、スロットルワイヤーやインテークの掃除と動作の確認です。
もう15年前の旧車のBUELLです。いろいろ経年劣化しています。
スロットルワイヤーが引っかかっていたり、インテークが汚れていたり、バラフライの動きが悪い個体もたくさんあります。
スロットルワイヤーの付け根にアイドリング調整のネジがあります。 TPSリセットの要の部分です。 この個体は、ずれてしまっていて、0ポジジョンのリセットがうまくできませんでしたので、調整が必要でした。 この個体は、全開抑制装置は撤去されていますが、スロットル部に残骸は残っていますので、さらに厄介なのです。
ワイヤーやフラップの動きが悪かったり、完全に閉じないようなスロットルだと、スロットルポジションが正しく調整できませんので、そもそもスロットルとアクセルワイヤーの状態は正常である必要があります。
そして、ビューエルのエンジン不調の元凶となっていた部品がコイツです。
ビューエルのスピードセンサーはすでに廃盤で、新品の入手が困難です。 こちらは流用品の車速センサーです。
スロットルセンサーを介して、5個のセンサーがつながっているそうで、どこかのセンサーが壊れると、スロットルの制御にも悪影響が出て、間違った信号を出してしまうようです。
ここでいう、「センサーが壊れている」という状態は、完全に壊れて動作していない状態ではなく、一応機能していても、完全な状態ではなく、正常でない信号を出している状態のことです。
完全に壊れているわけではないのにダメだから判りにくいのです。汗
例えは、私のBUELL XB12sの場合は、たまにスピードメーターが動いていない時がありました。 気付いてはいたのですが、「たまに動かないくらいいいか」と放置していました。
そのように、潜在的にどこかのセンサーに不良がある個体を、TPSリセットすると、アイドリング不調、ハンチング、ノッキングなどの症状として不調が表面化するということのようです。
つまり、ちゃんとTPSリセットできなくて、燃調が狂うということです。
上記あくまでも、ビューエルフリーク同士の情報と経験上の推測であり、プロのメカニック的解析ではありませんので、間違っていたらごめんなさい。
これでハードウエア的な修理は全て大丈夫なはずなので、TPSリセットなど、ECUコンピューターのチューニング作業に入ります。
ECMSPYというソフトウエアと専用のハードウエアを使います。 設備は一式所有しているのですが、使い方が良くわかっていないので、今回の修理と同時にesmspyのレクチャーも受けてきました。m(_ _)m G先輩!ありがとうございます!
燃調は、2007年式 XB12sに適合するレースマップを入れました。
今回の個体は、フルパワー化済みで、全開抑制装置を撤去、マフラーのバルブも全開固定されているので、純正マフラー&ノーマルエアクリーナーでも、レース用マップの方が良いだろうとのことで、レースマップを入れました。
ノーマルECUをレースモジュールに書き換えたわけです。
修理前のTPS:
調整後のTPS:
本来は、voltsが1V前後あるべきなのだそうですが、ここから先は走って学習するでしょうということで今後に期待です。
試運転に出かけます。
前とは全然違う。
アイドリングも安定している。
アクセルのツキも良いし、回転数もスムーズに降りてくる。
治ったぽい!!!!!!!!!!!
修理前:BUELLアイドリング不調の動画:HOT WIRED CHANNEL
BUELL エンジン不調の症状の動画:アイドリング不調https://youtube.com/shorts/byGR71NmssE
BUELL エンジン不調の症状:空吹かし回転数が落ちないhttps://youtube.com/shorts/JrYWEObntrc
修理後:アイドリング安定の動画
BUELL エンジン不調の修理後の動画:アイドリング編https://youtube.com/shorts/dFZ7xfKYnDA
BUELLのエンジン不調の修理後の動画:空ぶかし編https://youtube.com/shorts/SXYoVd8uqFI
全世界の迷えるビューエル乗りの参考になれば幸いです。
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